11日(日)、日本アレンスキー協会の第4回例会「ロシアピアノ音楽を開花させた作曲家たち(1)」が無事開催されました。
今回は、予定されたピアニスト6人のうち1人が急に出演できなくなったものの、5人で19曲を弾くという大変盛沢山な内容でした。
まず、19世紀初頭までのロシアのピアノ音楽(トルトフスキー、ボルトニャンスキー)、19世紀半ばごろまでのピアノ音楽(ジョン・フィールド、アリャビエフ、ラスコフスキー、チェルリツキー、グリリョフ、グリンカ)などに触れた後、ルビンシテイン兄弟、チャイコフスキー、「五人組」、ヘンゼルト(ゲンゼリト)らの話をして、ここから演奏をたっぷりとお聴きいただきました。
演奏された曲目は以下の通りです:
・ボロディン:《小組曲》より〈僧院にて〉 (川染雅嗣)
・A.ルビンシテイン:即興曲Op.16-1 (鈴木飛鳥)
・A.ルビンシテイン:ロマンス Op.44-1 (高橋健一郎)
・キュイー:《25の前奏曲》Op.64より第13番、第15番 (川染)
・グリンカ=バラキレフ:ひばり (坂田朋優)
・リャードフ:《3つの小品》Op.11より 第1曲〈前奏曲〉ロ短調 (鈴木)
・リャードフ:《3つの小品》Op.57より 第1曲〈前奏曲〉変ニ長調 (鈴木)
・リャードフ:舟歌 嬰ヘ長調 Op.44 (高橋)
・リャードフ:《2つの小品》Op.31より 第1曲〈田舎風マズルカ〉 (安田文子)
・リャードフ:音楽の玉手箱 Op.32 (川染)
・リャードフ:《4つの小品》Op.64より 第3曲「誘惑」、第4曲「追憶」 (坂田)
・アレンスキー:《4つの小品》Op.25より 第1曲〈即興曲〉 (高橋)
・アレンスキー:《24の性格的小品》Op.36より 第7曲〈ワルツ〉 (坂田)
・アレンスキー:《忘れられたリズムによる試み》Op.28より第4曲「サリ」 (安田)
・アレンスキー:《6つのスケッチ「海辺にて」》Op.52より 第1曲 (安田)
・アレンスキー:《6つの小品》Op.53より 第5曲〈ロマンス〉 (川染)
・アレンスキー:《12のエチュード》Op.74より 第11曲 (川染)
・アレンスキー:《24の性格的小品》Op.36より 第24曲〈平原にて〉 (川染)
例会の中でも話しましたが、リャードフ、アレンスキーの曲は、一見平易そうに見える中にも、極めて洗練された作曲技法で、対位法的な処理をしている部分が多く、細かく込み入っていて、大変弾きにくく書かれているものがたくさんあります。それでいて、とても歌心に満ちているので、教育的観点からもとても有益だと言われています。これらの作品はもっと弾かれてしかるべきでしょう。
ロシアでもこういうプログラムの演奏会は極めて稀だと思います。珍しい魅惑的な小品の数々をお楽しみいただけたとしたら幸いです。
当日は大震災からちょうど1年で、いろいろなイベントが他に行われていたにも関わらず、100人を超える方々がご来場くださいました。そして、例会の後に催された懇親会にもたくさんの方がお残り下さって、いろいろお話をすることができました。ご来場くださった皆様、ありがとうございました。
また、いつもながらたくさんの方々に運営面で多大なご協力いただきました。心から感謝申し上げます。
また、会場には復興のための義援金の募金箱を置き、だいたい2時46分に皆さんとともに、犠牲になられた方々への追悼の気持ちを込めて黙とうを捧げました。
募金箱には19096円のお金が集まりました。本日、郵便局を通して日本赤十字社に送金してまいりましたので、ここにご報告いたします。
次回は9月23日、タネーエフとグラズノフのピアノ曲を中心に取り上げる予定です。
どうぞ今後ともよろしくお願いします。
日本アレンスキー協会 副会長
高橋 健一郎